記憶の整理

大学の講義やコース、オーストラリアでの生活に関するブログ

他者の存在が与える行動への影響【4】ー観客効果(オーディエンスエフェクト)その2

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前回の投稿(-)から引き続き、観客効果(Audience effect)に関する投稿になります。

今回の投稿では観客効果を説明する6つのモデルについて解説していきたいと思います。

 

前回の投稿で、受動的かつ無安納な他者=観客の存在によって簡単なタスクのパフォーマンスが上がったり(社会的促進)、難しいタスクのパフォーマンスが下がったり(社会的抑制)する事を実際に行われた実験を交えて説明していきましたが、実はこれがどのような原理で起こっているのかはっきりしていません。

今回はこの現象を説明しようと考案された6つのモデルを時系列に沿って解説していきます。

一般的に、前半のドライブ系モデル群(1~3)と後半のそれ以外のモデル群(4~6)とに分類されます。

 

  • 1:ドライブ理論 (Drive Theory)
  • 2:評価懸念モデル (Evaluation Apprehension Model)
  • 3:注意対立理論 (Distraction Conflict Theory)
  • 4:自己認識理論 (Self-awareness Theory)
  • 5:注意力過負担モデル (Attention-overload model)
  • 6:自己予想ー社会的評価モデル (Self-expectations and Social Evaluation)

 

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他者の存在が与える行動への影響【3】ー観客効果(オーディエンスエフェクト)その1

他者の存在が与える行動への影響第3回、観客効果(Audience Effect)について書いていきたいと思います。

eyecatch

皆さんは、同乗者がいると1人の時と比べて駐車にてこずってしまったり、逆に高速では普段より車を飛ばしてしまったなんて経験はありませんか?

スポーツやってる人なんかでは、観客の有無で調子が上がったり、逆に練習通りのパフォーマンスができなかったりした経験があるのではないでしょうか。

もちろんこう言った行動は様々な要因が組み合わさっていることだと思いますが、両者の共通の理由の一つとして挙げられるのが観客効果です。

 

このテーマで書いた過去2回の記事では、”優しさ”を阻害したり、サボりを助長したりするなど、他者の存在が与えるネガティブな影響について書いてきました。

今回の記事では、今までの記事と違い、ネガティブな影響というよりは、時と場合によって与える影響が与える、若干複雑な現象について扱っていきます。

 

  • 観客効果と社会的促進(抑制)
  • トリプレットと共行動効果
  • 観客効果へ

 

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他者の存在が与える行動への影響【2】ー社会的手抜き(ソーシャルローフィング)

Loaf of bread

前回に引き続き、「他者の存在が与える行動への影響」その2をやっていきたいと思います。

今回は、社会的手抜き(Social Loafing)を扱います。内容としては、経済学で出てくるフリーライダー問題なんかに少し関連した内容になります。

 

今まで生きてきた中で、学校教育・労働を通じて、誰かと協力して1つのアウトプットを生む共同作業は誰しも経験してきていると思います。そういった作業で、「自分一人ならもっとうまくやれるのに」とか「あいつ真面目にやってんのかよ」、といった事を考えたことはありませんか?少なくとも私はあります(笑)。少しずれますが、働きアリは必ず2割がさぼる、なんて話もあるように、グループワークになると、必ずと言っていいほど「主観的に」碌に仕事をしない人がグループの中で現れて来ます。

 

そうした共同作業が学校の課題であったり、重要なプロジェクトならまだしも、質も量も大して重要ではない作業だった場合、どのような行動をとるでしょうか?少なくとも私ならできる限り手を抜くでしょう。結果、それぞれの人が手を抜いていく訳ですから、その共同作業の生産性はかなり下がっていってしまいます。

 

社会的手抜きは、このようにグープワークで全体の平均した生産性が個人でやるときよりも下がるという問題を扱っています。(といっても多少はアウトプットに貢献しているのでフリーライダーよりかはましですが、、、)

 

  • 社会的手抜き
  • 心理的要因と物理的要因
  • ロープ以外の手抜き
  • 社会的手抜きが起きる理由
  • 社会的手抜きの度合いに影響を与える要因
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他者の存在が与える行動への影響【1】ーバイスタンダー(傍観者)効果

人間の行動は非常に面白いことに、他者の存在に強く影響をうけます。
一人の時にできる事が人前ではできなくなったり、逆に他者の存在があるために自分が普段しないような行動をとることがあると思います。

 

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バイスタンダー効果(傍観者効果;Bystander effect)とは、他者(傍観者)の存在が、人の思いやりや手助けといった行動を抑制する現象のことを言います。

1964年にニューヨークで起こった殺人事件から着想を得て社会心理学者のBibb Latane とJohn Darleyによって提唱されました。

主に3つの理由からこの現象が起こっているといわれています。

 

  • 殺人事件
  • 理由1:責任の分散(責任分散)
  • 理由2:社会の影響(ウィキによると多元的無知というらしいです)
  • 理由3:観客抑制(評価懸念)
  • どんな時にバイスタンダー効果が弱まるのか

 

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【進学】ファウンデーションを飛ばしてオーストラリアの学部に留学する方法

交換留学でオーストラリアというのは、日本の大学生にとってかなりメジャーな行先の一つだと思います。高校留学でも距離・コスト的にそれなりの財力を持った家庭に生まれた方であれば選択肢の一つに入っていたのではないのでしょうか?

 

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【感想】「多動力」堀江貴文

プライムリーディングで上の方に出てきていたため、読んでみた作品です。特にこれといった理由があって読み始めたわけではありませんが、強いて言うなら、かの有名な「ホリエモン」の本、考え方を読んでみたかったのが理由になります

本文自体は、非常に簡潔に分かりやすく書かれており、読みやすい本だと思います。

私自身はライブドア事件の際非常に幼かったこともあり、ホリエモンについては特にいいイメージも悪いイメージもあるわけではありません。個人的に彼の考え方は非常に合理的で、参考になる部分は多かったですが、人によっては感情的に拒絶してしまう部分はあると思います(特に最初の方/特定の人々の生き方を批判しているので)

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

 

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【論文】HRTのメタ解析

前回の投稿で心理学的に爪を噛む癖を直す方法、という題でケーススタディを紹介したのですが、今回はその続きで2013年に発表されたメタ分析を紹介していきます。

この研究では18つの研究575人の参加者のデータを分析し、HRTの有効性について考察されています。前回の投稿では被験者が1人しかおらず、データの信憑性という観点からみると足りませんでしたが、具体性を無くした分、その点を補った研究になります。

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